2013年8月22日木曜日

SQUIDS magazineクルーの2013年・上半期の活動 - Carios ロングインタビュー




富山発のWEBマガジン、SQUIDS magazineのクルーの活発な音楽活動を追う連載です。

今回はCarios編の後編、Carios氏のインタビューです。


ラップ、リリック、その他の活動、SQUIDS magazine、インターネット…
SQUIDS magの編集長でもあるCarios氏のアレコレについてロングインタビューで聞きました!
めっちゃ聞きました。





Carios/ロングインタビュー






ラップについて

Q. Cariosさんのラップはメロディックなスタイルが特徴的ですが、なぜそのようなスタイルになったのでしょうか?

そもそもラップのやり方わからないのと、初めのトラックがすごいメローだったので、気持ち良いように乗せるしかなかったのと。

もともと バンドやってたり歌とか好きなので、ラッパーらしいラップをしないことが自分の出来ることというか、自分がしっくり来て、かつ人があんまりやらなくてキャラとして認識されるなら、それを頑張ればいいんだなーと思った的なっす。

 



Q. ご自身のリリックで一番気に入っているラインを挙げるならどの部分ですか?
また、DKXO氏のリリックで一番好きな箇所はどこですか?

自分のはwinternet archive全部まるまる、ミニマルな言葉で情景の情報量がスゴイ俳句的感じかつ、韻も踏むのが成功したと思って一番気に入ってます、「手についた灯油の匂いでフラッシュバックする思い出」とか「帰り道すがら一番大きなつらら落とした奴が持ってく手柄」とか

あとは「東京富山関西から海外タイもwifiピクニックでワイワイ」も韻硬いけどフザケれてかつ記号沢山詰め込んだの成功した上で偶然メロディーもキマった感じはするかもです。

DKXOは「ああしたいやこうしたい 結局こんなはずじゃないなら笑えるエピソードひとつでも」の確かさ。あと「レジ横置き去り 半額の花火/力つきたセミ 転がる駐車場/監視台 見下ろす人気ないプール」の俳句的描写には脱帽しました




Q. Carios & DKXOで制作するときにはリリックやテーマ決め、
またヴァース順や構成など、どの程度まで事前に打ち合わせされるのでしょうか?

バース順、構成は初めに割り振ります。小節数=書かねばならないリリック量が分かるので。
local distance~from dusk、、のときは全くノープランですが、テーマは、だいたい単語とか一つですね。
winternetなら「冬」、年末調整なら「Local Distance以降と今の状況」みたいな。
(編注:「year-end tax adjustment」=「年末調整」)

でも、作業バラバラなんで、先にバース録って送るんで、後になった方に内容が影響されるってことはありますね。
年末調整は、僕が先にバースとサビ取って送って、バースが歯抜けになってたので、後半とか、そこつながるようにDKXOが書いてくれたと思います。



Q. 地方と都市の距離感を歌った「Local Distance」、富山の冬を描いた「Winternet~」と比べ、
「year-end ~」はより外側に向かって語りかけるように聴こえます。その変化は意識的なものでしょうか?

どっちかというと、winternetが情景描写だけという感じで一番作家ぽいというか、書き方としては外向きかもって思ってて、Local Distanceと年末調整は割と似てて、この曲をラップすることの意味、みたいことを書いたかな、と。
無茶な企画にノルと決めた段階で、もうそこには100%メッセージが完全にあって、歌詞でそれを解説してる感じで。

ただ年末調整は、売り物で、他のラッパーもいうたらプロで、トラックメーカーもプロで、そこで素人の自分達が公に試されるドデカイハードルだったのとか色々関係しますね。引越したあとだったし。
都会とか外部からスゴイとか、ラッパー、プレーヤーみたいな眼差しを向けられたり期待され出してたんだけど、実際には住んでた地域の人はほとんどずっと無反応でしんどくなって引越したりとか、そういう状態で皆同様生きてるリーマンとしてのスタンスを改めてちゃんと伝えたかったし、俺らみたいなもんでもこういうコンピにいれてもらえるから皆も頑張って、みたいな、より具体的な要求はあったかもです。




の他の活動について



Q. 「Baby cruising Cloud」にCarios & DKXOのラップが載るのを楽しみにしているファンは多いと思いますが、
今後リリースの予定はあるのでしょうか?



すごい、覚えてくれてるもんですね~予定はもちろんあります!ただ目の前の生活やコラボ案件とかをこなすのに精一杯な、いつものあれです!会社でいうとクライアント案件とかに追われて、たまに打ち上げ的なこともするけど、社内案件がおざなりになるパターンのやつ


Q. トラックメイカーCariosの新曲の構想はありますか?

まんとこ無いですけど、まだあんまりサンプリングされてなさそうなエモとかメロコアはレペゼンしてみたいです


Q. 以前バンドをされていたという時代のお話についてお伺いできますか?
また、現在ラップをするCariosさんに、バンド時代の経験はフィードバックされていると思いますか?

高校の時にメロコアのコピーでギターボーカルとかから始めて、大学でバンドサークル入ってからはいろんな楽器一通り手は出しましたが、メインでやってたバンドではenvyみたいな音なんですが、それでボーカル担当してました。
変なコードとか変拍子が多かったり、展開がめちゃくちゃ多かったり、ライブも月1,2やってましたし、それでアウトプットとか、曲の作り方とかは慣れてたのかもしれません。

あとは、そーゆーハードコアとかシリアスなのとか、活動を広めたり人前でライブするのが、ガチな人に比べて、実は自分には向いてないということが分かったのが一番影響大きいかもです。
DTMとかネットみたいな自宅作業、大喜利的な要素あるラップをネットにアップするなら出来る!みたいな



Q. 今後コラボしてみたいアーティストやトラックメイカーはいますか?

ラップすること自体本業じゃないので、ラップすること、コラボすること自体が面白いので、誰でもなんでも言われたらやりたいです。自分が予想出来なければ出来ないほど、面白いのでそれをしたいです。なのでよくわかんない外人とかが面白いなーみたいので、ちょっとサンクラで気にしてます。
 

あとはラップとかまだしてない人も予想出来ないので一番おもしろいと思うので、そういう人とやりたいです。自分でもやらないはずだった、やったことない歌ができるのが面白いのが一番なので。くそ腰重いですが…  




Q. 普段からラップを練習したりリリックを書き溜めておいたり等されますか?

一切しないですし、したくないです!ラッパーじゃない自分がラップするっていう試みの面白さとかをキープして伝えたい感じありますし、それが許容される世の中にしたいですので、何もかもヒップホップに寄せないでいたいな、と。
ラッパーだ、すごい、って思われたらもうプレーヤーとリスナーに別れちゃうのイヤなので!マインドは皆さんと同じなんですよ、だから一緒になにかしませんかってのがキモです。自分自身も常に新しいお題をあたえられた大喜利という感じで楽しみたいですし。




SQUIDS magazineとその周辺について




Q. SQUIDS magクルーについて、編集長として簡単にレペゼンをお願いします。

とりあえず、地方で、村意識とか、先輩後輩とか権威とかそーゆーの抜きで、今よりもっと面白くなることを考えたり、それに向けて協力したり、そういうベクトル共有できる人達という感じでたまに協力しあう感じです。
ちゃんとしたクルーがあるってわけでもないですし、SQUIDS自体に属すとかそういう発想が生じないほうがいいな、と。
マガジン、て銘打つのもそういう感じで。個人でやりづらいことを動かす為の、都合の良いテイですね。
僕引越しちゃって運用とか方向性ちょっとブレが生じてますが(;^ω^)




Q. SQUIDS mag結成の経緯を教えてください。

上でも書いちゃいましたが、「テイ」が必要だったのと、その「テイ」は、例えばネットレーベルだと「音楽、イベント」に限定されるけど、それだとハードル高いし、間口も狭いし、自分でも門外漢という感じがして、もっと間口広くて、ただの日記でも大喜利でも、旅行記でも、なんでも扱えるのが「webマガジン」だった必然性ですね。

もっというと、自分はラッパーでも、トラックメーカーでもなんでもないけど、インターネットやりまくってて、都会とか地方のヤバいものはネットにある限りは、ヤバい人チェックしたり、反応したりはできるので、自分にできることはそれを紹介したり裏方で活かせると思ったのでweb制作もやってるので、SEOとかそっちの面もカバーできるし、と。

まぁいきなりラップしちゃって、プレーヤーとしての役割がでかくなっちゃって、それを推し進めるのが精一杯で結局その構想が割りと浮いちゃってるんですが、基本それで、皆書いてくれたら載せるよ…って思ってはいます。



Q. SQUIDS magazine福岡支部メンバーである徳利さんについてお聞かせください。
富山のSQUIDS magと福岡の徳利さんがどのようにして繋がったのでしょうか?

もともと、Twitterの音楽好き、地方、鬱屈系アカウントとしてつながってたんですが、同じようなベクトルの中でも、僕らがラップ発表してバズったことで、彼がすごく興奮してくれて、田中面もわざわざ来てくれて、それで繋がってました。
今や彼の持ってる鬱屈やコンテンツが、完全に地方とかそういう問題じゃなく完成してるので、同じとは言えないですが、同じ鬱屈を持った仲間として、協力して楽しいことができるならしよう、って感じでSQUIDS的にも繋がってます



Q. 未だ謎に包まれているCDTVについて教えてください。
CDTVはどのようなグループで、今後どのような活動をしていく予定なのでしょうか?

CDTVは名前先行型思いつきでcarios,DKXO,徳利,森光光子」でラップをする、ということが決まっています。デザインとかラップとかトラックメイクが一応、出来て、何かやろうって時に予め了承を得た固まりを作っておくと、動きやすいので先にこういう固まりに名前をつけたかんじですね。さっきのSQUIDSの「テイ」の話にもつながりますが。ノリで適当にやります。


Q. 今夜が田中ぁくんについて、みんなが知らない秘密を1つ教えてください。

たまにDMで僕がすごい怒ったりして困らせたりしたこともありました





・では最後に、インターネットで楽曲や作品を発信していくことについて、何かあればお願いします。

例えば、twitterがあって、iPhoneというインフラ・機材があって、アカウントという「テイ」があるから皆発信出来てる状態が普通に今違和感なくて、
だから、soundcloudがあって、iPhoneとかgaragebandとかのインフラ・機材があって、ユニット名とかブログ名みたいな「テイ」があるから曲を発信する、みたいなのも僕は同じなのでは、と自分がやってる感覚とか、soundcloud毎日すごい量アップされてるの見ながら思ってて、
自分も別にリアルと地続きとか云々じゃなくても、アカウントが発信するtweet,instagram,soundcloudを同列に考えるようになってもいいんじゃないかなー、みたいなそういうのを思っています。

そういう器があって敷居が下がって、つい発信しちゃったり、なんかやろう、っていう中に、誰もやってない事がたくさんあったりして、他人からはそれがスゴイ価値があるんやないかと。
「自分は割りと普通だから…」とか遠慮とかする人多いと思うんですけど、ツイートひとつにせよ、自撮りとかでも、もう他人に出来ないこと出来てるじゃん、みたいな事もありますので。

遠慮せずにちょっと自覚的にヤッてみる、ていうのが、結果皆が楽しくなるし、良いのでは、と思います。




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




というわけでCarios氏のロングインタビューをお送りしました。
自分がこのSQUIDS mag連載を始めたのは、以前ツイートしたのですがこういう経緯でした。

ので、このインタビューは個人的には念願かなった感じであり、アツくなって実に20以上の質問をぶつけてしまったのですが、その全てにしっかり答えて頂けた(分量の問題で泣く泣くだいぶ削ったのですが)おかげで、もはやCariosさんと居酒屋で朝まで話したような感覚のインタビューになったと思います(実際には一度も会ったこと無いですが)。

プレーヤーとリスナーに別れちゃうのイヤなので!マインドは皆さんと同じなんですよ、だから一緒になにかしませんかってのがキモです。自分自身も常に新しいお題をあたえられた大喜利という感じで楽しみたいですし。」
とかの部分が、自分が最初に「おもしろいなー、話聞いてみたいなー」と思ったところへの答えだったような気はします。

あと最高の無茶ブリをした人たちとか、聴いて反応した人、Remixとかのリアクションした人、コラボしたラッパーやトラックメイカーの人たちとか、そういう様々なアレも含めてめっちゃおもしろいなーと思っていたので、(全部はまとめきれずに大分はしょってしまったのですが)そういう人たちも含めてめっちゃいいなーと思う感じのアレでした。

自分のこの連載もそのリアクションの一つになれたらそれはめっちゃ嬉しいなーと思います~