tofubeatsの記念すべき初アルバム『lost decade』。
iTunes tofubeats 「lost decade」
そして、そのアウトテイク集として発表された『lost decade (outtakes)』。
このアウトテイク集に収録された「KAGE demo」がアルバム本編収録曲にも負けない名曲でした。
しかしこの曲について触れるならば、まずこの曲が生まれるインスパイア源となったエピソードについて書かなければなりません。
時系列で見ていくと
それは半年ほど前、tofubeatsの盟友であるオカダダのツイートで言及されていました。
徳利さんの超いい話教えたらさっきからトーフビーツが「おい!」と「ウオオオ」しか言わなくなった
— オカダダさん (@okadadada) 2012年10月18日
この「いい話」というのは徳利(@leetok)さんがツイートした過去のエピソード。その元ツイートは現在、見られなくなっていますが、それらツイートを凝縮した「徳利からの手紙」という楽曲内のリリックとしてそのまま聴くことができます。
leetok 「徳利からの手紙」
0:12からの、「中学受験で…」から始まるエピソード。
ここでは「徳利からの手紙」については(語りだすと絶対長くなるので)置いておきますが、もしこの曲を聴いたことが無ければぜひ一度、聴いていただきたい名曲です。(現在もこちらのリンクからフリーダウンロードが可能です)
「いい話コレクターの俺が黙るレベル」 gyazo.com/0f3559eead4503… favstar.fm/users/leetok/s…
— オカダダさん (@okadadada) 2012年10月18日
続くこのツイートに貼られていたのは、まさにその時のtofubeatsとオカダダのSkypeでのチャットのスクリーンショット。
@okadadada あいつ何を目指してるんですかね
— ワイパさん (@DJWILDPARTY) 2012年10月18日
@djwildparty こういう時あいつ本当にいい曲つくるからな
— オカダダさん (@okadadada) 2012年10月18日
そして
いい話聞いて30分くらいで本当にいい曲作ってきやがった…
— オカダダさん (@okadadada) 2012年10月18日
ここまでが2012年10月のやりとり。このやり取りはここで一旦終了しますが、
この後tofubeatsが(上記の楽曲とはまた別に)自身のサウンドクラウドにて「徳利からの手紙」をリミックスしたものを発表。
tofubeats 「徳利からの手紙(social distance mix) tofubeats remix」
(フリーダウンロード可)
冒頭から、まさにあの思い出の話がtofubeatsのEDITによりスウィートな記憶として改竄され、
ドリーミーなシンセとともにリピートされます。「楽曲のリミックス」という概念を超えて、1人の人間の過去の思い出を書き換えてしまった、これもまた優しい良リミックスでした。
(ちなみにこれ↓は同曲の「人生の改竄」のまた別の一例)
Decayxodus a.k.a DKXO 「徳利からの手紙 ~GANJA REMIX~」
(フリーダウンロードLINKあり)
そうこうしてる間に時は流れ、2013年4月、晴れてtofueatsの初アルバム「Lost Decade」の発売直前。Twitterなどでの期待も最高潮に高まっていたそのとき、なんとtofubeatsが急遽アルバムのアウトテイク集をname your priceにて公開。その7曲入りアウトテイク集『Lost Decade Outtakes』の、最終曲として収録されていたのが「KAGE」でした。
そしてこの発表直後、オカダダがしたのがこのツイート。
ここまでのエピソードを踏まえて、改めて「KAGE」の視聴リンクを。
【歌詞】
クリック音のように「カッ、カッ」とだけ鳴るスネア、エレピのシンプルなコード弾き、そして薄くオートチューンがかけられたtofubeats自身の歌。弾き語りのような音像で始まります。Bメロに入るとコードに低音鍵の響きが加わります。足元を踏みしめて、一歩踏み出す決意をしたかのように。少しだけ緊張して、心臓の鼓動が速まっていく、あのときの感じ。そしてそこから、コード進行もドラマチックに動き始めます。
なぜ本編アルバム「Lost Decade」に収録されなかったか不思議に思うような名曲。
ここからは憶測なのですが
-------
tofubeats自身はアルバムについてのインタビューで各媒体で
「アルバム」というパッケージ、体裁にこだわったと語っています。
発売と同日にアウトテイク集をリリースし、その聴かれ方に意味を持たせていないとは思えません。少し前まで、まだシングル文化が華やかだった頃では、雑誌などでのミュージシャンのインタビューで
--------
最後の部分は邪推かもしれませんが、この「KAGE」が素晴らしい曲であることには変わりありません。
Bandcampではname your price(ご自由に値段を決めてください)でリリースされていますので、
ぜひ一度、できればアルバム本編「lost decade」(こちらもフル視聴できます)と
合わせて聴いてみてください。
(Bandcampの使い方に馴染みが無い人には、
tofubeats自身がわかりやすく書いたダウンロードの仕方もありますのでぜひ読んでみてください)
iTunes tofubeats 「lost deacde」
それから半年の時が経ち
そうこうしてる間に時は流れ、2013年4月、晴れてtofueatsの初アルバム「Lost Decade」の発売直前。Twitterなどでの期待も最高潮に高まっていたそのとき、なんとtofubeatsが急遽アルバムのアウトテイク集をname your priceにて公開。その7曲入りアウトテイク集『Lost Decade Outtakes』の、最終曲として収録されていたのが「KAGE」でした。
そしてこの発表直後、オカダダがしたのがこのツイート。
徳利さんのお守りの話聞いて30分後に上がってきたデモがKAGEです tofubeats.bandcamp.com/album/lost-dec…
— オカダダさん (@okadadada) 2013年4月23日
2012年10月のやりとりで言及されていた楽曲がまさにこの「KAGE」なのです。ここまでのエピソードを踏まえて、改めて「KAGE」の視聴リンクを。
【歌詞】
悲しい時や嬉しい時をかみしめてつい縛られちゃうね心の中をのぞきみられてドキリとしたけど何もない
出て行くときに目を見て言った暗くなる前には 帰るよ
ああ 君がここにいるはずなどないけどまだ影を探すああ もう誰も君のこと思い出せないけど影はうつる
悲しい時や嬉しい時も過ぎてしまえば 思い出だけど覚えてたこと 全部忘て最後は何も残らない
ふとしたことで誰かのことを悲しませても いつかは 許すよ
ああ 君がここにいるはずなどないけどまだ影を探すああ もう誰も君のこと知らないけど 僕は覚えているよ
ああ 雨が降るああ 君の手を
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
クリック音のように「カッ、カッ」とだけ鳴るスネア、エレピのシンプルなコード弾き、そして薄くオートチューンがかけられたtofubeats自身の歌。弾き語りのような音像で始まります。Bメロに入るとコードに低音鍵の響きが加わります。足元を踏みしめて、一歩踏み出す決意をしたかのように。少しだけ緊張して、心臓の鼓動が速まっていく、あのときの感じ。そしてそこから、コード進行もドラマチックに動き始めます。
なぜ本編アルバム「Lost Decade」に収録されなかったか不思議に思うような名曲。
アウトテイク集の最終曲である「KAGE」の存在
ここからは憶測なのですが
-------
tofubeats自身はアルバムについてのインタビューで各媒体で
「アルバム」というパッケージ、体裁にこだわったと語っています。
“SO WHAT!?”を作った理由としては、17曲目の“SO WHAT!?(EXTENDED FULL POWER DIGITAL MIX!!)”を入れたくて。実はそこ起点で作り始めたんです。
――これが最後に入ってるの、いいですよね。これが“LOST DECADE”の後に始まると、すごくボーナストラック感がある。
tofubeats そうなんですよ。僕としては、それでJ-POP感みたいなのを表現してる(笑)。ボーナストラックみたいな曲って、今だったら別で出したりsoundcloudにアップしたらいいじゃないですか? それをあえて入れることによって急激に僕の中でアルバム感が出る。そういうのに憧れがあって。やっぱアルバムでやれることって意外にそういうことじゃないですか? “LOST DECADE”でめちゃくちゃきれいに終わるのに、ボートラを入れてしまうと、急に全部が軽薄になるんですよ。それがすごいよくて。(引用:「NEXUS アーティストインタビュー tofubeats」)
発売と同日にアウトテイク集をリリースし、その聴かれ方に意味を持たせていないとは思えません。少し前まで、まだシングル文化が華やかだった頃では、雑誌などでのミュージシャンのインタビューで
-なんでこんないい曲をシングルにせんかったん?という発言が時折見られたものでしたが、B面で輝いてファンの記憶にいつまでも残る楽曲、そういった役割を、最終曲として収録された「KAGE」に持たせたのではないでしょうか。
「いや、この曲はB面でこそ映える曲やと思ったから」
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最後の部分は邪推かもしれませんが、この「KAGE」が素晴らしい曲であることには変わりありません。
Bandcampではname your price(ご自由に値段を決めてください)でリリースされていますので、
ぜひ一度、できればアルバム本編「lost decade」(こちらもフル視聴できます)と
合わせて聴いてみてください。
(Bandcampの使い方に馴染みが無い人には、
tofubeats自身がわかりやすく書いたダウンロードの仕方もありますのでぜひ読んでみてください)
iTunes tofubeats 「lost deacde」
追記
2013/5/13の徳利さんのツイートを追加しました。
中学受験でハゲるくらい追い詰められてた時当時好きだったアイドルから応援の手紙をもらった体で大丈夫きっと受かるよ!って自分で書いた手紙お守りに入れて持ってた
— 徳利さん (@leetok) 2013年5月13日