2014年9月26日金曜日

【ゲスト寄稿】Wave Racer以降のFuture Bassシーンの紹介とエクスクルーシヴMIX(DJ BOOT BEAR)




こんにちは!ヤングです。


第1弾:ステューピッド小僧さんによるFlow-Fi解説とエクスクルーシヴMIX

https://soundcloud.com/stupidkozo/mirai/s-0mAK4

第2弾:iddyさんによるサンクラ謎アーティストストーキングのススメ


とお送りしてきました、 “日々SoundCloudをディグしている人たちに、新しいあのレーベルや気になるあのシーンについて解説していただく” この寄稿シリーズも第3弾!

そして一旦の最終回です。

最終回に登場していただくのは、沖縄のDJ BOOT BEARさんです!



DJ BOOT BEAR




DJ BOOT BEAR プロフィール

沖縄県出身。
趣味のHIPHOPのアナログレコード集めが高じてDJキャリアをスタートさせ、
オーストラリア留学中にはフューチャービートやClub Remixに影響を受ける。
帰国後は地元沖縄にて勢力的にDJをこなす傍ら、
今年7月には福岡からステューピッド小僧をゲストに迎え
新譜HIPHOPパーティー"FUTURE CLASS"を主催し成功させている。
現在は毎月最終火曜日、那覇は美栄橋のRecord & Music Bar「on」にて
"nyce & slo"のレギュラーDJを務める。





そして記事のテーマは、オーストラリアのWave Racerらを中心とした、「Neon」「Wavy」と呼ばれるシーンについてです!



「Nintendo 64のサウンド」とも形容される、ゲームBGMにも似たキラキラしたシンセ、ロマンティックなコード進行、Trap以降を感じるリズム構築…

Wave Racerはこうした音楽の始祖ではありませんが、シーンに強く認知させ、流行のサウンドを作った存在だと言えると思います。

ハッキリとした特徴付けはむずかしく、そのせいかジャンルの呼称も定まらないシーンではありますが、SoundCloudではズバリ #WaveRacer とタグ付けされた曲も多く、そこから派生してか 「Wavy」、またはキラキラしたシンセの音色からとって「Neon」と呼ばれることもあるようです(他にも呼び方は様々…)。



この記事では、下記でも大きく紹介されているPUSHERが使ってる名称を借りて「Neon」シーンとして、シーンの紹介記事を書いていただき、また関連音源を中心とした30分弱のMIXも提供してもらいました!

DJ BOOT BEARさんのMIX作品は、盟友・ステューピッド小僧さんのLive Show、Abysmal Loungeにゲスト参加した(アーカイブがここで聴けます)以外では、これが初です!


前置きが長くなってしまいましたが、それでは記事、MIXともにぜひお楽しみください!





・ ・ ・ ・ ・ ・




こんにちは!初めましてBOOT BEAR(ブートベア)です!

今回はYes,Yes,Youngさんのご好意で記事を書かせていただけることになりました。駄文ですが温かい目でよろしくお願いします…。



NEONサウンド 



今回僕が取り上げるのは個人的にWavyサウンドと呼んだりもしていたのですが、NeonFuture Bassと呼ばれている新しい音楽シーン?について!

去年僕は9ヶ月近くオーストラリアにいたのですが、街中でやたらみるFuture Classicと書かれたイベントポスター…。
調べてみるとシドニーを拠点におくレコードレーベルで、そこに所属してるのがWave RacerFlumeだったりして。

「サンクラでWave Racer知ってる!」と興奮した当時の僕はライブ見に行きたいな~とも思っていたのですが、かなりの貧乏旅行をしてたこともあってシドニーに行く機会もなく、また彼らのツアーが僕の住んでいた街にも来ることもなく、結局そのまま帰国してしまいました。。。。

記事中で後述するPusherら、数名のアーティストが使っているNeonサウンドという呼び方がこの音楽の特徴をうまく表していると思ったので記事内でも引用していきたいと思います~



代表的なアーティスト


主にSoundCloudを中心に音源をアップしているアーティストが多く、また各々作風も違うのですが、代表的なアーティストにWave RacerやCosmo's Midnight、それからSableBasenjiPUSHERLindsay Lowend、そして来日を果たしたばかりのALIZZZなどが挙げられるかと思います。

最近はその他のアーティストもこのサウンドを取り入れてきてるように感じています!



Neonサウンドとは


そんなこんなで興味を持ち始めたこのサウンド、SoundCloudを探って行くうちに数多く現れてくるんです。

その多くはEDMやTRAPをまとめたアカウントに取り上げられるのですが、確かにエレクトロの要素もあり、ベースが強くハットが多く打ち込まれたTRAPの要素もあり…でも何か新しい!と、まあかなり主観的ですが個人的にハマっている & 注目のシーンです。

聴いた事の無い人には僕の文章だけでは全くイメージが掴めないと思うので代表的な曲を聴いてもらうのが一番てっとり早いかと思います...!

 



正式名称はなんだろう


正式にはなんというジャンルなんだろう?という疑問がまずあったのですが、サンクラストーキングで定評のあるiddyさんのツイートで知ったこちらの動画↓↓↓

Neon × Future Bass – NI Massive Intro Tutorial (Pusher)

 


カナダはトロント在住のトラックメイカーPUSHERが、シンセサイザーのMassive上でこのサウンドを作るチュートリアルをYoutubeにアップしたものです。

冒頭で「フューチャーベース、ネオンサウンド、ある人達はオーストラリアンサウンド..ムーブメントって呼ぶね」と喋っています。ひとまず読み方は何でも良いみたいです!!(ヤッター!)

おそらくオーストラリアンサウンドムーブメントと呼ばれてる理由に代表的なアーティストの多くがオーストラリアの人で(Wave Racer、Cosmo's Mid Night、Sable、Basenji...)彼らから始まったからでしょう。

各々トラックメイカー達もSoundCloudのハッシュタグで #electronic だったり #kawaii や #kawaiibass だったり #neon だったりと好きな呼び方で自らの曲をくくっています。




音の特徴その1.シンセサイザー



上で述べた冒頭部分では呼び方に続き、MASSIVE上のプリセット “Square Sun -1” 、“Sin- Triangle” を使うのが良いということが分かりますね!

その他のシンセサイザーの操作方法などは音楽製作をしない僕には難しい部分もありますが…このジャンルを読み解くのにとても参考になる動画です。

こちらがLogic pro上でのコード進行だったりベースについて紹介する続き。


Neon × Future Bass – NI Massive Leads, Chords, & Basses Tutorial (Pusher)

 



上記の動画2つともですが、コメントにもこまめに返信しておりPUSHERの人柄が見れますね…。

Neonサウンドを作っている方、今から作ろうとしている方は質問してみるのも良いかもしれません!

僕がこのサウンドを勝手にWavy(ウェイビ~)と呼んでいた理由に、上のチュートリアルにも紹介されていたフィルターのかかったシンセのうねり(?)が特徴的だな~と思い、それに一番しっくりくるのが「Wavy」という単語だったからという理由があります。

その僕のイメージにばっちりくるものとして、去る8月19日にアルバム『Futuristic Love』をリリースしたばかりのNew Yorkのトラックメイカー、GEOTHEORYがいまして、彼の曲を聞くとFuture Bassと呼ばれるジャンルがより分かるのではないかと思います。

 


音の特徴その2. ゲーム音楽


GEOTHEORYの作品には #Furute Japan のタグを見ることが出来るのですが、Beatpoat上のバイオグラフィーでは「日本のカルチャーに強い影響を受けた」と書かれています。

Cosmo's MidnightのSoundCloudアイコンはアニメキャラクターですし(2014年9月現在)、#kawaii のタグや、上記のPUSHERのチュートリアルでも「クラシックビデオゲームのNintendo 64のサウンド~」と話していて、日本のカルチャー、特にゲーム音楽とは繋がる点が多く感じられます。

そのあたりは、同じような影響源を持つアーティストとしてLindsay Lowendの曲なども合わせて聴くと分かりやすいと思います。

いろんな作風のサウンドを作るLindsay Lowendですが、代表作「GT 40」を収録した『Wind Wish EP』は全曲 #Neon のハッシュタグも付けられています。ここでは3曲目の「It's George」をPick upしたいと思います!


 
1分51秒からの「ポペ!ポペペ!」という音…。
元ネタはなんでしょうね、ゲーム詳しい方がいたら聞いてみたいと思っています。


日本のトラックメイカー



そんな日本との繫がりも見えてくるこのサウンド、ここ日本でもDay Tripper RecordsSeiho氏やマルチネレコーズ周りのアーティストの楽曲群にも繋がる部分があると感じますし、神戸在住のトラックメイカー、blackgrassG氏も素晴らしい曲を作っています。






Wave Racer - Future Bassのその先


興味深い記事として、代表的なアーティストWave racerが今年の3月に答えたインタビュー(英文)があります。

http://doandroidsdance.com/features/wave-racer-interview/

ここでは始めに、どんどんシーンが大きくなって非常にエキサイトしてること、インターネットで音楽を探す事が好きで、シカゴのJukeシーンのTEKLIFEのアーティストたちを非常に尊敬していて大好きだということ(このあたりの話題が出たのはシカゴでのインタビューだったこともあると思います)、また、以前はPablo J & The Lobsterettesという名前で友人とフランスのエレクトロに影響を受けたDisco Houseのデュオを組んで活動しており、そのときの経験が今の音楽にも繋がっていること、なども話しています。

そしてNeonサウンドと呼ばれていることやその流行については、(「それは重要なことだ」と断った上で)「多くのダンスミュージックはリズムとビートのみにフォーカスされている。それをよりメロディアスに。コードを組む事が好きなので、人の耳を惹き付けるのは何か。それを目標にしている。」と答えています。


それに続き、インタビュアーはCashmere CatRustieHudson Mohawkeらと比べられる事について質問しているのですが、そこでも「私の音楽をFuture Bassと呼んだり、他の名前のジャンルで呼んだりするけど、いま挙がった名前のアーティストたちが私に大きな影響を与えたのは確かだよ。でもそこにいるその他多くの人たちはその人たちで、私は私だよ」と答えています!

確かにNeonサウンドと呼ばれる曲の殆どはメロディアスで可愛らしい印象を受けますし、多くのアーティストが今までのベースミュージックと違う方向性で目指しているのはそこなのかもしれません。

そして今の音楽シーンでそのアーティスト達をFuture Bassや他の名前でとひとくくりにするのもまた難しいことです。ですからある一部のアーティストやリスナーたちは自らの音楽をNeonサウンドと呼んでいるのだと思います。



終わりに


そんなこんなでこのNeonサウンドやFuture Bassと呼ばれるこの新しいジャンルについて書いてきましたが、未だ分からないことが多いうえに、作っているアーティストも様々な作風の曲を作るため、ジャンルとしてもまだ確立してるとは言えないのかもしれません。

ですので僕は単純に海外のダンスミュージックの1つの流行として、これからもチェックしていきたいと思っております!


関連した曲くくりで30分弱のMIXも作ってみましたのでお時間ある方はぜひぜひ聞いてみてください~


Yes,Yes,Youngさん、お誘いありがとうございました!


DJ BOOT BEAR - Moving Neons For YesYesYoung










Track List : 
1. Flamingo Bloom - Kokomo Blush
2. Alicia Keys - You Don't Know My Name (???Secret??? edit)
3. SirOJ - Run Away (Alizzz Edit)
4. GEOTHEORY - Midnight Racer
5. GEOTHEORY - Futuristic Love (Pt. 1)
6. Beemo - Makin' Love To You ft. Kyross
7. Gudu - Etheren (Dugong Jr Remix)
8. AObeats & Manila Killa & Vices - Food Diaries
9. FEELS - Walk a Mile
10. WRLD - If U Wanna
11. blackglassG - High Rise (demo)
12. JAWS - Bare
13. Cosmo's Midnight - The Dofflin (Wave Racer Remix)
14. PUSHER - Islands, Waves, Caves, & Skies
15. Basenji - Heirloom
16. Cosmo's Midnight - Moshi
17. Lindsay Lowend - GT40


・ ・ ・ ・ ・ ・



はい!ヤングです。

このシーン、「Neon」「Wavy」、他にも呼び方はいろいろですが、シーンの流行の先鞭をつけたWave Racerや、先のステューピッド小僧さんやiddyさんの寄稿でも触れられていた注目株GEOTHEORYらに加え、親切なチュートリアル動画により一部トラックメイカーやリスナーから、「あいつはいいやつ」と局所的なプロップスも集めたPUSHERなども注目です(個人的にはPUSHERの曲が大好き)。


さて第3弾まで立て続けにお送りしてきました連続寄稿シリーズも今回でひとまず最終回です。

各回の記事を寄稿していただいたステューピッド小僧さん、iddyさん、DJ BOOT BEARさん、それからスペシャルサンクスとして各回の編集に大きく助力いただいたおくこさんにも改めて感謝です!



というわけでありがとうございました!

はじめて他の方から寄稿をいただいたりして、個人的な感想もたくさんあるのですが、本稿の主役はあくまでDJ BOOT BEARさんの記事ですのでそのあたりは別稿にまとめたいと思います。

バタバタとしてしまいましたがめちゃくちゃ楽しかったのでまたいろんな人に声かけたりワーワーしていきたいと思います!遊びましょう!